2年ほど前に書いた「エポキシ樹脂-硬化剤ジシアンジアミド」の続きです。これまでに提案されている反応機構を紹介します。
一般的には以下の反応式ような、アミノ基の活性水素だけが反応すると考えられます。

出典:エポキシ樹脂技術協会編, “総説エポキシ樹脂”, 第1巻, エポキシ樹脂技術協会, p. 259-260 (2003)
でも、反応機構は違うと思います。
エポキシ樹脂とジシアンジアミドを混合して170 ℃で硬化させた場合、硬化前後の赤外線スペクトル (IR)が大きくことなるのです。2,200 cm-1付近のシアノ基 -C≡N に由来するピークがかなり減って、1680 cm-1付近のカルボニル基=C=Oに由来する大きなピークが出現するのです。
そこで、以下の反応機構が提案されました。

出典:加門隆,佐伯健作,高分子論文集, Vol. 34, No .7, p. 537-543 (1977)
シアノ基がカルボニル基に変化しています。IRスペクトルの結果と一致します。
ただし、この反応はアミノ基の反応よりもずっと遅いようで、ジシアンジアミドを4官能としてエポキシ樹脂に配合した場合には、シアノ基はあまり消費されません。私の場合は、ジシアンジアミドは6当量としてエポキシ樹脂に配合していました。その方が銅張積層板のTgやはんだ耐熱性、吸水率などが圧倒的によかったからです。
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