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変圧器用モールドコイルの溶解処理

 常圧溶解法で変圧器に使用するモールドコイルを溶解処理しました。

 

 

 これは日立産機システム(株)の変圧器ですが、右がモールド変圧器で、左が従来は主流であった油入変圧器です。モールド変圧器は安全性が高く、コンパクトなので、高層ビルなどの屋内に使われているそうです。

 

 モールド変圧器に使用されるモールドコイルの処理条件は、GFRP、CFRPを処理した条件と同じく、触媒としてリン酸三カリウム、溶媒としてベンジルアルコールを使い、常圧下190℃で処理しました。

 

 こちらが銅コイルの処理結果です。樹脂が厚いので、銅と充填材のシリカを回収するのに80時間もかかってしまいました。しかし、回収した銅もシリカもきれいで、腐食された形跡はありませんでした。

 

 次にアルミコイルのモールドコイルも処理してみました。

 

 上がアルミ板を使ったモールドコイル、下がアルミ線を使ったモールドコイルの処理結果です。どちらも光沢があります。すなわち、腐食されていないということです。常圧溶解法は銅にもアルミにも優しい処理法だということがわかりました。

 しかし、80時間という処理時間は長すぎます。3日間以上も処理していなくてはなりません。そこで、モールドコイルを切断またはクラッシュして、表面積を広げることにしました。

 

 

 その結果、処理時間を12時間まで短縮することができました。これなら半日ですから、GFRPやCFRPの処理時間とほぼ同じです。

 

出典:柴田勝司,前川一誠,池田ゆかり,廣瀬祐子,海津朋宏,伊豆名具己,「常圧溶解法によるモールドコイル変圧器のリサイクル技術」,第56回高分子学会年次大会予稿集, vol.56, No.1, 2007, pp.2352

   佐藤孝平,海津朋広,柴田勝司,前川一誠,「モールドコイルのリサイクル技術」,電気学会放電研究会資料,ED-07, 2007, pp.139