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硬化反応の分析-DSC

 エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を用意した後、硬化反応あるいは硬化物を評価する必要があります。

 最も簡単な方法は、ゲルタイムの評価です。一定温度にした熱板上に、これらの材料を混合したワニスまたは粉体を0.5g~2.0gぐらい置きます。それを金属か木の棒でかき混ぜます。固まるまでの時間が、その温度でのゲルタイムです。ゲルタイムは温度を変えて測定すると、その混合物の潜在性などが分かります。

 例えば、配合Aは100℃でのゲルタイムが600秒、150℃では60秒だったとします。配合Bでは100℃で300秒、150℃で100秒だったとします。この場合は、配合Aの方が配合Bよりも、100℃では硬化が遅く、150℃では速いので潜在性が高いことが分かります。

 

 装置を用いる分析方法では、示差走査熱量計(DSC: Differential Scanning Calorimeter)が便利です。エポキシ樹脂配合物を分析したチャートは以下のURLをご覧ください。

 

 (株)島津製作所さん

https://www.an.shimadzu.co.jp/ta/dsc60p_5.htm

 東芝ナノアナリシス(株)さん

https://www.nanoanalysis.co.jp/business/case_example_96.html

 (株)アイテスさん

https://www.ites.co.jp/chemistry/index/others/dscnetsu.html

 

 DSCの最大の特徴は、配合物の熱の出入りを正確に測定できることです。

 固形物が溶融すれば吸熱します。配合物が硬化反応すれば発熱します。そして、硬化物の比熱の変化からガラス転移温度(Tg: Glass Transition Temperature)が分かります。

 最初に未硬化の配合物をアルミの試料パンに入れて、50℃から250℃まで5℃/minで昇温します。その後、室温まで冷却して、再び50℃から250℃まで5℃/minで昇温します。その結果得られた2枚のチャートから、以下の項目の評価ができます。1枚目のチャートからは、溶融温度、発熱開始温度、最大発熱温度、発熱終了温度、総発熱量が読み取れます。2枚目のチャートからは、Tg、残余発熱量が読み取れます。

 この操作を、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤の種類あるいは配合量を変えて行います。そうすると、最適な硬化温度、Tgの高くなる配合などが分かります。これらのデータをExcelなどで一覧表にしたり、グラフを描いてみれば、目的の用途への最適配合が簡単に分かります。

 ひとつだけ注意したいのは、試料ホルダーが汚れていると正確な測定ができないことです。加熱すると試料パンからは僅かずつですが、揮発物が出て試料ホルダーを汚します。1日の最初の測定では試料を入れずに昇温させてみて、ベースラインが安定していることを確認します。この時の昇温速度は10℃/minあるいは20℃/minでもいいと思います。ベースラインが不安定だったら、試料ホルダーを開放して、空気中で600℃に加熱して、10min保持するクリーニングを行います。ベースラインが安定するまで繰り返します。

 

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コメント: 2
  • #1

    名無し (水曜日, 29 9月 2021 17:11)

    コメント失礼します。
    DSCでTGを見たいときに、DDSCピークが複数見られた場合は低温のピークをTGとしてよいものでしょうか。

  • #2

    柴田勝司 (木曜日, 30 9月 2021 17:47)

    回答が遅くなって申し訳ありません。
    DSCの比熱カーブに二つ以上のTgがあるときは、非相溶系の可能性が高いです。つまり、二つ以上の物質が混合せずに存在し、それぞれのTgが表れてしまうということです。
    いかがでしょうか。