· 

エポキシ樹脂-教科書

 会社に入りたての頃、エポキシ樹脂の配合設計を研究しろと指示されました。大学ではファインケミカルの合成化学しか学んでこなかったので、高分子化学、特にエポキシ樹脂の勉強を一から始めました。

 

 その時にお世話になったエポキシ樹脂の教科書をご紹介します。

また、その後も何冊かの教科書が刊行されましたので、それらもご紹介します。

 

 私が会社に入ったのは1980年ですが、その時までに出版されていたエポキシ樹脂の教科書は以下のようなものでした。

 

1) エポキシ樹脂研究会編,”エポキシ樹脂”,高分子文庫,高分子化学刊行会,134p, (1955)

2) エポキシ樹脂研究会,”エポキシ樹脂”,高分子文庫,高分子化学刊行会,172p, (1958)

3) エポキシ樹脂研究会編,”エポキシ樹脂”,高分子化学刊行会,(1961)

4) 大石直四郎, 館川裕,”エポキシ樹脂”,プラスチック材料講座 ; 第5,日刊工業新聞社,214p,(1961)

5) 清野繁夫,”エポキシ樹脂”,合成樹脂工業技術 ; 第9,誠文堂新光社,287p,(1962)

6) 垣内弘編,”エポキシ樹脂の製造と応用”,高分子化学刊行会,323p,(1963)

7) ◎ 垣内弘編,”エポキシ樹脂”,昭晃堂,527p,(1970)

8) Henry Lee,Kris Neville,”Epoxy Resins: Their Applications and Technology”,McGraw-Hill,305p (1957) (Reprint: Literary Licensing, LLC,305p (2012))

9) ◎ Henry Lee,Kris Neville,”Handbook of Epoxy Resins”,McGraw-Hill,960p (1967)

 

 この中で、特にお世話になったのは、◎をつけた2冊です。

どちらも大量の文献が紹介されていて、詳しく知りたいときは文献を取り寄せて読みました。9) Henry Lee,Kris Neville,”Handbook of Epoxy Resins”はエポキシ樹脂研究者のバイブルともいえる教科書です。研究所の図書館には1冊しかなかったので、ずっと借りているわけにもいかず、少しずつコピーして会社や寮で読みました。全部読破したわけではありませんが、結果的には1冊全部をコピーして、研究室の書棚に常備していました。

 

 その後、私が現役の研究者の時に、以下の教科書が順次刊行されました。

 

10) ◎ 垣内弘編,”新エポキシ樹脂”,昭晃堂,808p,(1985)

11) 〇 新保正樹編,”エポキシ樹脂ハンドブック”,日刊工業新聞社,694p,(1987)

12) 室井宗一,石村秀一,”入門エポキシ樹脂”,新高分子文庫 25,高分子刊行会,253p,(1988)

13) 垣内弘編,”エポキシ樹脂:最近の進歩”,昭晃堂,280p,(1990)

14) 米国プラスチック工業協会原著,エポキシ樹脂技術協会訳・編,”エポキシ樹脂応用技術の基礎”,エポキシ樹脂技術協会,306p,(1990)

15) 室井宗一,”わかりやすいエポキシ樹脂”,昭晃堂,138p,(1994)

16) ◎ エポキシ樹脂技術協会創立30周年記念出版編集委員会編,”総説エポキシ樹脂 第1巻(基礎編1)”,エポキシ樹脂技術協会,316p,(2003)

17) ◎ エポキシ樹脂技術協会創立30周年記念出版編集委員会編,”総説エポキシ樹脂 第2巻(基礎編2)”,エポキシ樹脂技術協会,241p,(2003)

18) 〇 エポキシ樹脂技術協会創立30周年記念出版編集委員会編,”総説エポキシ樹脂 第3巻(応用編1)”,エポキシ樹脂技術協会,268p,(2003)

19) 〇 エポキシ樹脂技術協会創立30周年記念出版編集委員会編,”総説エポキシ樹脂 第4巻(応用編2)”,エポキシ樹脂技術協会,263p,(2003)

20) 〇 エポキシ樹脂技術協会編,”総説エポキシ樹脂 : 最近の進歩”,エポキシ樹脂技術協会,456p,(2009)

21) Henry Lee,”Handbook of Epoxy Resins”,McGraw-Hill,960p (1981)

22) Irving Skeist ,”Epoxy Resins: Reinhold Plastics Applications Series”,McGraw-Hill,535p (2005)

23) Edward Petrie,”Epoxy Adhesive Formulations”,McGraw-Hill,535p (2005)

 

 こちらもすごくお世話になったものに◎、ときどきお世話になったものに〇をつけました。

 これらの中で特に世話になったのは、横浜国大の垣内教授が編纂した10) 垣内弘編,”新エポキシ樹脂”です。Lee & Nevilleの”Handbook of Epoxy Resins”からの引用も見受けられましたが、新たな文献も多数紹介されていて、私にとっては第2のバイブルになりました。

 

 2000年になってからは、16)~20)の”総説エポキシ樹脂”が圧巻です。2003年に同時に刊行された分だけでも1000ページを超えます。2009に刊行された分もいれると1500ページにもなります。これはエポキシ樹脂を研究する者は手元に置いておきたい教科書だと思います。

 ここ10年間は、特定の分野に限ったエポキシ樹脂の本は刊行されていますが、それらは教科書という位置づけではなくて、各分野の参考書に位置付けられます。新たな教科書の出版が待ち望まれます。

 

 ちなみに外国では以下のような教科書である可能性のある以下のような本も刊行されています。

 

24) Jyotishkumar Parameswaranpillai ,Nishar Hameed,Eamor M. Woo,Jürgen Pionteck,”Handbook of Epoxy Blends ”,Springer,1121p (2017)

25) Clayton May,”Epoxy Resins: Chemistry and Technology, Second Edition”,McGraw-Hill,1288p (2018)

 

 どちらも高価なので入手していませんが、予算に余裕ができたら購入しようと思っています。